くぬぎの森寄生計画 作業日誌

坂本善三美術館シリーズアートの風vol.7 「吉村形展 くぬぎの森寄生計画」公式ブログ

くぬぎの森寄生計画によせて

坂本善三美術館では、人々と美術を結ぶ架け橋となることを目指す展覧会のシリーズ「アートの風」を行なっています。毎年、様々な人たちとの間に新鮮な風を起こしてくれる作家を招いて、ワークショップや展覧会、滞在制作などを行なっています。

今年の招待作家は彫刻家の吉村形。小国町を拠点に制作している吉村が、制作場所のくぬぎの森に寄生するように滞在制作します。

その日々の過酷な労働(?)を、吉村形本人がここにブログとして綴ります。

木こり作業なのか草刈り作業なのか制作なのかわからなくなるような、森なのか虫なのか人なのかわからなくなるような、だんだんと森化していく作家の日々を、皆さんと一緒に覗き見させてもらうことにいたしましょう。

 

坂本善三美術館 学芸員 山下弘子

 

 

ーー以下展覧会チラシ掲載テキストーーー

 

人々と美術を結ぶ架け橋となることを目指す展覧会シリーズ「アートの風」。今年は彫刻家吉村形(よしむらけい)を招きます。

吉村の制作拠点は、父である画家・吉村郁夫創設の私設美術館「櫟の森美術館」(小国町西里)を取り囲む、広大なくぬぎの森です。2011年から現在まで「くぬぎの森寄生計画」と題し、自然と深くかかわる行為の中から生まれてくる造形を追求しています。

吉村は日々の森での作業を、制作のためというよりもむしろ、森を維持するためにやらざるを得ない作業として行なっていますが、その行為を「森を彫刻する」と呼び、森での活動そのものを作品にしようと試みます。

やってもやっても終わりのない使役のような森での作業の中に、はっとするような美しさ、人出は作り出しえないような壮大さや密やかさを見いだすことが、吉村にとっては制作であり森を彫刻する行為なのです。

自分の力を大きく超えた「森そのもの」という巨大な素材に対して、まるで人間のちっぽけさを確認するかのように挑み続ける彫刻家の姿をとおして、私たちのすぐ隣にある自然が、リアルに立ち現れてくるのを感じて頂ければと思います。

「吉村形展 くぬぎの森寄生計画」では、8月から滞在制作、10月から展覧会を行います。展覧会期間中も制作は継続します。森の中に足を踏み入れ、徐々に自然と一体化していく作品を、季節ごとに移り変わり行く森の姿とともにお楽しみください。f:id:sakamotozenzo:20170709083515j:plain