くぬぎの森寄生計画 作業日誌

坂本善三美術館シリーズアートの風vol.7 「吉村形展 くぬぎの森寄生計画」公式ブログ

寄生計画日誌8.23

坂本善三美術館

中学生とワークショップ最終日

 

天気晴れ

気温32℃

体重78.5kg

食べたもの 朝 :昼 :夜 :

 

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"寄生CAGE"

2700mm×3600mm

 

中学生がコツコツと寄生させてくれた形が出来上がった。ゆったりとした時間の流れの中、なんの心配もなく労働は進んだ。

これから12/3のラストまで、彼らの"寄生CAGE"は、坂本善三美術館正面でどうなっていくのか?

完成はしたが、寄生は終わらない。

 

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中学生が書いてくれた感想

「最初は寄生という意味がよく分からなかった。でも一本の木を取り、木へくっつける事が、ここでは寄生と言うんだと分かった。」

 

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中学生の皆さんへ

寄生計画への参加ありがとう。皆が気持ちよく労働してくれた事忘れません。

よく自然と共生共存して生きると言いますが、僕はあんまりその言葉がしっくりきません。約10年くぬぎの森で自然に近い所に居ますが、早い時期に無理だと思いました。

自然が暴れだすとどうにもなりません。自然と戦うなど絶対無理です。

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数年前、杉林の中に小屋を建ててる時、雨が酷くて作業が出来ないで、杉に隠れて雨宿りをしていました。その時、野鳥が杉林の中に入って来て暫くの間、木にとまって、同じ様に雨宿りをしていました。雨が止むとまた何処かへ行ったんですが…これ見て思いました。

間借りは出来るなと。

それから、沢山間借りしてる動物や生き物を見るようになりました。

コケやキノコも一緒で、いつの間にか木に付着していたりします。これを寄生と言うんだと知ってからは…

間借りイコール寄生になりました。

 

僕らは自然に寄生させてもらってる小さな生き物に過ぎないし、そう思う様になると、今までは素通りして見えなかった物も見えたり、気持ちが楽になって来ました。そして、身の回りにある当たり前が大切に思える様になってきました。

僕の気持ちは、この10年で180℃と言っていいほど変化してしまったと思います。

 

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そんな素晴らしい経験を僕は皆さんの住む小国町でさせて頂いてます。

僕の寄生計画は、いつまで続くかは分かりませんが、小国では至る所に寄生が潜んでいると思います。皆さんのピュアな眼差しで探したり遊んだりしてみて下さい!

ありがとう^_^

 

 

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まだCAGEという名前もつけてない7、8年前にこんな形は作り始めたと思う。

ちょうどその頃は、そろそろ木を間引いていかなければいけないと考えてていた時期で、僕の制作スタイルも変わろうとしていた。

当時は、太い幹の部分20cm-35cmは薪に使い、その他の枝は処理が大変なので放置し捨てていた。しかし放置するにも問題があって、木を一本切るだけで枝は大量に出るものだから場所を取るし、かさばるのだ。木は立っている時は枝や葉っぱは上の方でこんもり茂ってくれてる。立ってればいいんだが…

チェーンソーで数分で簡単に木は倒れる。倒しても、その後の処理に半日かかった。

いつしか5cm-10cmの枝を長さ25cmくらいの長さに切っていくへ作業も追加していた。小さい枝を扱うほど時間がとられる。それでもそれより小さい先っちょの枝は残る…余すところなく使おうなんて無理…そんなのナンセンス。

 

どうすれば1番効率が良い作業になるのか?考えたが、結論はやはり放置か燃やすってが僕の脳みそのキャパみたいだ。

燃やすのも面倒だし…そんな事をグダグダ考えているうちにあっという間に、また次の年になったりだった。

 

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しかし面白いもので放置した数年前の枝の山がいつの間にか背丈が低くなり、上から乗ったりするとパリパリ割れてるのだ。朽ちるわけだ。平らな場所に置いてたりした枝の大量のゴミ山も年月が経つともとの平地に。

この循環を、くぬぎの森に長く居る事で学んだようだ。

まぁいつかは朽ちる。

だからあんまり完璧にやる事はしないでおこうと心に決めた。

 

 

でも当時はまだ焦っていた。

ずっとくぬぎの森に居るわけではないし福岡との二重生活。

環境整備に時間を取られ、作品を作るところまで辿りつけない事にイラだっていた。なんでこんな山奥の誰もいない土地に移り住んだんだと、親を恨んだがもう死んでる人に言っても仕方ない。そのイライラから解放されるために、結局外で作業した。

いや作業じゃいやだ。労働だ。

労働は、僕がこき使われてる雰囲気がするし、役に立ってる気がする。

労働と公言する事で、報われる気がする。

外での作業…いや労働が長くなるにつれて枝をどうにか使えないかと思うようになってきた。処理や整理から、制作に変わってきた。

そこから生まれたのが、今回の中学生と作った"CAGE"になる前の形で、柵や薪置き棚だった。

このシリーズは僕が森に出て木を間引き、整理する事でいくらでも生まれる形。

増殖無限の作品になる。

 

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どうだろう?

くぬぎの森周辺をこのCAGEが這っていくのは…

薪を乾かせる。

洗濯物干しにもなる。

柵にもなり

暴風対策にもなる。

鳥や狸が巣をかけたりするかもだ。

 

くぬぎの森を越え三共牧場一帯に広がれば、牧場の牛は増えてくれるんじゃないのか?と勝手に思ったりしている。

 

続く…