くぬぎの森寄生計画 作業日誌

坂本善三美術館シリーズアートの風vol.7 「吉村形展 くぬぎの森寄生計画」公式ブログ

寄生計画日誌10/6

天気 雨
気温 20℃
食事 朝 コーヒー 昼 パン 夜 ビーフン
体重 78.0kg

昨晩から明け方にかけての大雨。
雨音で起こされると眠れなくなり、明日の外作業の事が気になりだす。
多少のびしょびしょは想定内。

世が明け外に出ると、雨は止んではいたが、くぬぎの森はしっとり。くぬぎの枝が垂れ下がり、そこに鳥がとまると、雨粒がぱらぱらっと落ちる。鳥も昨晩の大雨はうんざりしたようで鳴き声が元気がないような…

小屋で作品のキャプション制作しようと思いきやまた雨が降り出す。小屋にまで雨が入り込む嫌な展開。

 

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キャプション。

くぬぎの木である。斧でやる仕事はグリップの使い方が難しい。力使い過ぎると疲れるだけ。

リズムと角度。

斧を打ちつける事に集中。

絵を描く事から、斧でくぬぎの枝を叩き続ける作業は今年いっぱい続く。

同じ事の繰り返し。

何も考えないでも、スムーズに手が動くように…

 

さてお客様も来て頂いた。

2週間前にも来てくれたのだが僕が留守で会えなかった。

 

痩せ型の男性は雨の中、くぬぎの森を歩いてくれた。終わりの始まりまで歩いてくれて、石のモニュメントに今日もお客さんが立ってくれた。

ここへ立てば必ず気持ちがスッキリしてもらえる。特に自分にストイックな人なんかは絶対だ。オカルトでもなんでもない。森から放出される何かが、人間との間で化学反応を起こすきっと…

 

 

お客さんは僕と同じ歳の43歳。

ボクシングをされていたそうだ。

どこか乾いた感じで、静かな物腰、喋り。乾いた気持ちは森でリセットして潤いをもたらしたのか?

 

ストイックにボクシングに打ち込んで来たのだろう。目の奥はまだファイターである。一人でいることが好きだと言っていた。対人が苦手だと。

森はいつでもウエルカム。

 

ボクサーは絵の前に立ち、感情を押し殺すかのように少しシャドーをやり始めた。僕も軽く受けてみたが、鋭いパンチが僕の手のひらに響く。

 こんな事は初めてだったが、彼のシャドーはどこかこの空間にマッチしていた。

 

絵や彫刻、くぬぎの森から放出される何かと彼が化学変化を起こした瞬間ではないだろうか?

 

ボクサーは孤独だ。

世間との間のストレス。今の彼の気持ちがシャドーにすべて現れていた。