櫟の森寄生計画with Zenzo アートクラブ
善三美術館との櫟の森寄生計画展も早いもので三年が経ちました。
その間、森はどんどん成長しています。
僕が毎年5本程、くぬぎの木を切るんですが追い付かず、森は驚異的なスピードで成長しています。
三年前も同じような事を書いた記憶がありますが、日々自然に圧倒されております。
そして昨今の災害です。櫟の森寄生計画を始めたのは丁度、東北の震災時ですから、あれから地球はずっと怒り続けていますね。
さて今年はまた坂本善三美術館のZENZOアートクラブが櫟の森にやって来ました。(全5回11月まで)
第一回目は7/23土に雨の中開催されました。美術館前の道が陥没し、ハプニングありでしたが無事終了しました。
ZENZOアートクラブの趣旨は、全てを子供達主導で行うというところにあります。通常のワークショップは何をするか目的が決まっていますが、そうではないこの企画は面白いのか?面白くないのか?それもわからないところから始まります。
でも参加する子供の人数はなんと21名。今年で5年目となるとこのワークショップ、キュレーターの山下さん、アーティストのレインボー岡山さん、川嵜さん、スタッフの方々の活動が子供達にとって魅力あるものになっている事を証明しています。
そして今回僕が皆さんの力をお借りして先頭を切らしてもらうんですが、なかなかのプレッシャーです。
面白いと思えば子供はやるし、面白くなければ見向きもしない。それは僕が日頃やっている子供との活動で理解はしています。ですがこれ言い方悪いですが、ちゃんとニンジンを用意しているから、仔馬は走る訳でありまして、餌は僕の手の中には常に入れてます。と考えると今回は何もないんです。餌がない。
さぁどうなる事やら。。から始まりました。
櫟の森寄生計画はこのブログを最初から見て頂いてる方は分かると思いますが、森の整備から始まりました。
草が伸びるから刈る。冬は寒いから木を
切り薪を割る。
一言で労働です。
そして始まったワークショップ。
先ずは僕のやって来た事を森を散策しながら子供達と話しました。
みんな真剣に聞いてくれてます。
楽しみにしてくれてるのが本当に伝わって、なんか申し訳ないな。サービスしたいな〜って思う自分もいました。
そして先ずは体験だという事で小川の石ころを陸に上げてもらいました。この豪雨で、小川の水も増して沢山の石が削られて溜まってました。これも寄生計画の仕事です。
ワーワー言いながらやってもらいましたが、その石を、僕が作ったモニュメント(終わりの始まり2011〜)まで運ぶ事に。。モニュメントは櫟林を登り森のてっぺん近くにあります。
誰が言い出したのか分かりませんが、運び始めました。
何度も往復し泥だらけの子供達。
これアートクラブじゃない
土木クラブやんという子もいましたが、その通りで。。
子供達にはアートはまだ見えぬ霧の中です。
こうして始まったワークショップ。
どうやら僕のやって来た労働がベースとなり動いていくようです。
なんか嬉しかったです。
ようやく僕の手から寄生計画が離れて始めた。そして、それが子供達ってところが未来を感じるじゃないですか?
この人も寄り付かない辺鄙な森に子供達の笑い声が聞こえる。森の管理人の母もこれから暫くはハッピーになれるんじゃないかなと。
僕が何度も歩いたモニュメントまで、子供達が何度も歩く。そしたら、そこにくっきり道が出来ました。たった半日の作業で力強い道が現れるなんて、子供達は気付いたかな?いやそんなのどうでもいいでしょう。子供は後ろを振り向かない。
"終わりの始まり"
良かった良かったこの題にして。
つづく
Graeme and Mary part1
くぬぎの森寄生計画というブログに何故ニュージーランドなのか?っていう疑問をお持ちの方もいらっしゃると思うので…
8月、約1カ月ほどニュージーランドへ行って来た。幸運にも知り合いの知り合いのコテージを借りる事が出来た。
御主人がセルフビルドしたもので、とても素敵な空間なのだ。
こんな事ってあるんだろうか?
寄生生活がニュージーランドで始まろうとしてるなんて。。
僕ら(息子と嫁)のニュージーランドでの濃厚な時間を少しづつ書いて行きたいとおもう。
Graeme and Mary
僕らがお世話になったのがオークランドから北西約30kmにあるkumeuという町で、牧場に囲まれている、自然豊かな地域だ。しかし近年、中国人の手によって牧場が買収され、僕らがステイしているコテージがある敷地の通りの向こうは新しい建物が次々と出来上がっており、今の景観も次来た時はどうなっているか…疑問だ。いや心配だ。
Graeme and Mary(グラハムとメアリー)今回の僕らのホストファミリーだ。
歳は70手前の素敵なご夫婦で、僕の父と母と同じくらい。
生き方はナチュラル
多くは語らないが、笑顔が素敵。
Graemeは絵を描き・彫刻を作り・料理をし・ガーデニング・コテージを建てたり、大体自分でなんでもやってしまう人で、僕にはたまらない魅力ある人だ。
そうだな〜父もなんでも作る人だったから、ニュージーランドの親父が出来て、嬉しくなった。
息子にはこの素晴らしさ、親切がどれだけ分かってるのか?こんな人達に出会えるなんて本当に幸せなんだよお前は。
Maryはもと数学の先生で、なんでも親身に聞いてくれる方。今はカウンセラーの仕事を週に何度か学校でやっている。
という事もあり、僕らにはとても分かりやすい英語で話しかけてくれる。
こんな素敵なご夫婦のコテージ。
最初に迎えてくれたのが…
なんと
Welcome hedgehog
ウエルカムハリネズミ
普通にミカンの木下にいた。
なんでこんなとこにいるの?っていう感じで僕達はその可愛らしさに暫く釘づけになった。
Maryに、ハリネズミがいたって事を伝えたら、どこにでもいるよ。逃げないからね。たまに道路でも敷かれているよ…って。最後の道路で…は…
確かに、色々ペチャンコになってる。
天敵がいないから、普通にハリネズミも出てくるし、道路では鳥がよく召されている。鳥は天敵がいないから飛べない鳥が多い。pukekoとかかな?
代表の鳥ならkakapoやkiwi。
のんびりしてるんだろうけど、もう少し車もゆっくり走らないとね。
本当にぶっ飛ばすもんなこっちの人。
あれじゃ逃げられないわ。
コテージの前には芝生が。
息子とラグビーボールで遊ぼうと思ったが、晴れた日が本当少なくて、裸足で遊びたかっなー。
これはツリーハウス
Graemeの娘さんのために、遊び部屋
として作ってやったそうだ。
毎朝、このツリーハウスを見て心温まった。家族を大切に、家族が喜ぶ顔を見たくて作ったんだろうな。
月日は経ち、ツリーハウスの土台の木の枝が成長し、壁に食い込んでいる。
ああ、なんて素敵なんだ。
息子も毎朝このドアを開け、Graemeの作った空間に包まれていた。本当に貴重な寄生生活だ。
息子はニュージーランドに留学して2年になる。現在中2。普段は別のホストファミリーの家に世話になってるが、今回僕らが来たんで、暫く一緒に生活した。
Graeme and Maryに寄生しながら、僕らはゆっくりと流れる時間に身を任せていった。
Part2に続く…
寄生計画日誌2019.9.6
2019.7.27石掘りワークショップ
こんな石はゴロゴロとしてる。
2017年くぬぎの森寄生計画から早いもので2年が経った…
その間も、この森は変わり続け、僕の心も少しずつ変化していっている。
くぬぎの森へ来て11年。
くぬぎの森美術館が開館して19年。
結構な時間が過ぎて、父の時代から支えてくれた人や、僕の周りの恩人も昨年は次々と亡くなっていった。
天候も変わり、もう9月というのに日中は蒸し暑く、10年前は夕方四時頃になると急に森の奥から冷たい風が入ってきたのに、今では全くといって無風だ。
今年、この森もどれだけ雨が降っただろうか?
もういいよ。やめてよっていうくらい降りまくった。
それでも、この森は耐え続けていて、僕と母…特に駐在員の母を守ってくれている。
さぁこれからの10年、どうしょうか?
僕はこの森の方向性を考えはじめている。
今までは、僕がくぬぎの森寄生計画として森で作業し管理をしてきた。モニュメントや小屋など色々な仕掛けを作って来たが、もうそろそろ次のステージへ行きたいと思う。
くぬぎの森寄生計画が終了し、僕が寄生生活をするっていう事は、ある程度やれたと思う。森の駐在員の母もよくやってくれた。
その次にやる事って…
それは他の人に寄生生活を体験してもらう事じゃないかという事だ。
実際に森に寝泊まりしてもらい、森を見てもらう。
そして僕らと同じ経験を味わって頂くというものだ。
作業後のこのひとときが素晴らしい。
この森は本当に素敵なものが沢山ある。
僕ら日本人は古来から自然のもの一つ一つに神が宿ると信じて来たように、本当にそう感じる瞬間がこの森にはあるのだ。それを言葉や文字で一生懸命に伝えようとしても、なんか胡散臭さも感じるだろうから、実際に泊まって頂く。
そうしてくぬぎの森を知るコミュニティが出来ていけば、この森のポテンシャルはもっともっと引き上げられていくと思う。
そう考えた。
それには今から準備が必要だ。
森をもう少し軽くする必要がある。
要するに木を伐採する仕事。
これはこの秋にやるつもりだ。
そして泊まれるように館内の整理だ。
やる事は山ほどあるが、くぬぎの森が
これから動いていく様子をちょこちょこ書いていきたいなと思う。
樹齢2000年のカウリの木。この木の歴史は非常に切なく、僕は日本人なんだけど心揺さぶられる。
くぬぎの森寄生計画というタイトルは変わらないが、僕が今一番影響を受けているニュージーランドについても書いてみようと思う。全く寄生計画とは関係ないかもしれないが、どこかこの小国町との共通点があるような…
色々体験した事感じた事など、書いてみたいと思う。脱線もあるかもしれないがお付き合い頂きたい。
寄生計画日誌12/2
天気 晴れ
気温 朝 -5℃ 昼 3℃
食事 朝 コーヒー 夜 コロッケ
体重 78.0kg
師走
森の奥の奥まで見通せるようになった。
終わりの始まりまで歩く道は、落ち葉で敷き詰められ、踏みしめると音が、サクッサクッと気持ちいい。
霜柱がお昼を過ぎているのに、まだまだ立っている。ここは光は入るが、気温は朝とさほど変わらないのだろう。少し登った所なのに…美術館周辺とは全く違うのだ。
空は澄み切った水色。
14:30
太陽は沈みかけているが、明るいくぬぎの森。これが冬のくぬぎの森。
気温はマイナスだが、光量は夏よりも高い。
毎日の掃除。
落ち葉も落ち着き、今度は雪を待つ。
冬を快適に越せる為に、秋まで頑張る。それが寄生する事の核になるようだ。
無理にとってつけたような作品を作ろうが、それは全くこの森では意味が無いようだ。
8月から続く展覧会も明日で終わり。
本当に最後だ。
明日は何を山下さんと話そうか。
僕が今感じている事、そして未来を話せればと思う。
とうとう明日がくる。
寄生計画日誌11/23
天気 くもり
気温 朝 3℃ 昼 3℃
食事 朝 コーヒー 昼干し芋 夜 シャケの塩焼き
体重 78.0kg
昼の温度が上がらない。
風も強くて落ち葉が勝手に掃除される。
いつのまにか落葉のピークは過ぎてる…
最後まで葉っぱがぶら下がっている木の種類知ってますか?
…
それは
柏
柏の手のひらの様な葉っぱは、雪が降り始めて、吹雪いても、枝にしがみついている。
小屋の前の柏
上に昇っていく枝を下へ誘引した。
ずっと前に誘引した枝は、雨宿りには丁度いい。柏には少し僕の遊びに付き合ってもらおう。
焚き火から焼き芋…そして干し芋と続いたが、次は
なんたでしょう?
……
にんじん
これをストーブの近くで乾燥させると
ここまで干されてきた。
この熟成されていく過程がなんとも言えない。
12/3の最終日は、焼き芋をやろうと思います。
是非皆様来てください(^^)
寄生計画日誌11/19
天気 くもり
気温 朝-2℃ 昼5℃
食事 朝 コーヒー 昼干し芋 夜 椎茸汁
体重 78.0kg
初雪。
森の空気が澄んできた。どうやら冬がやって来たようだ。昼間も気温は上がらず、作業していても手がかじかむ。
お客様は3時ごろ、もう陽が落ちて来た頃に二組。森を歩いて頂いたが、空気が気持ちいいと言って頂いた。
葉っぱを踏む音も今日は絶妙に良かったと思う。
冬が良い。
くぬぎの森へ来たらとりあえず“終わりの始まり”まで歩き、一息つく。それから暫くまた歩くと、また気持ちいい。
くぬぎの森寄生計画もあと二週となった。冬が訪れる事で、森に寄生する感覚は増して来る。
頭の中では次のテーマが存在する。
それは冬をもっとクローズアップするものだ。
それを少し見せると…
冬を快適に過ごすために秋まで準備し備えるわけだが、冬にはそれを熟成させる
事をやる。
干し芋棚というのか?名前はまだ分からんが、今は頭の中が干し芋で一杯だ。
寄生計画日誌11/17
天気 くもり
気温 朝-1℃ 昼11℃
食事 朝 コーヒー 昼なし 夜 水炊き
体重 78.0kg
落ち葉掃除はピークなのか?そうではないのか?分からない。
草原裏のくぬぎ、かしわの紅葉は今が一番いい感じかも知れないので、まだまだ落ち葉掃除は続くだろう。
さてさて本日は雨樋の修理をした。写真を撮り忘れた…
どんだけでも詰まる葉っぱ。定期的に取ればなんて事ないのを、無精者の僕は、やっとこさ重い腰を上げ脚立に昇る。今回はしっかりと取り除いたんで、スッキリ。だが気付けば、屋根にも大地にも葉っぱ。上も下だ笑
屋根から観る吉武山の紅葉は今が一番だ。
もう2時頃から夕方の様相を呈してくるくぬぎの森。杉の稜線に隠れる太陽をチラチラみてもまったくこちらを照らしてはくれない。杉には悪いが、落葉樹だったらな〜って思う。
そんな事考えながら、先週の続きで焼き芋を焼く事にした。落ち葉が活躍する。
マルミヤで買った、ゴツすぎるサツマイモ。これは切って小さくして焼くかとも思ったが、この塊の迫力をわざわざ無くしてまで焼き芋をする必要があるのか?と思い、男らしくそのままで焼く事にした。
新聞紙で巻き
湿らせる
アルミホイルで巻く
という手順は山下さんのやり方を守った。
そのまま直火をやるヤツがいるそうだが、それは焼き芋ではなく、燃やし芋だと思う。
周辺の落ち葉はかなり一掃されたんじゃないかな。
でかいのに中まで火は通って、満遍なく焼けてるじゃないか。
皮を剥くと金色ではないか?
このまま食べても良いが、やっぱりもうひと手間かけたくなる。
干し芋を作ってみてる。
くぬぎの森の冬を越すには薪ストーブはマストだ。これがなかったら寂しくて、精神をやられそうだ。暖かい空間がある事が気持ちを穏やかにさせて、仕事も頑張ろうってなるようだ。
だから 薪ストーブ周辺はごった返す。
洗濯物、干し芋、干し椎茸、ヤカン。
欲張りもほどほどに…
それと火の元には注意だ。